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フラックス・バンドの電飾 [デロリアン製作記]

今回はフラックス・バンドの電飾です。

タイムトラベルの時に青く発光する、バンパーやハッチにある帯状の部分は、フラックス・バンドという時間航行の場を作り出す装置らしいです。
ぜひ発光させたい部分ですが、帯状に均一な光を作るのは難しいです。
LEDを並べても光の強い部分が出来てしまうので、劇中の様な雰囲気が出せません。
そこで、ELワイヤーという発光デバイスを使ってみます。
ELワイヤー.jpg
ELワイヤーは、チューブ状の発光体に高い電圧を掛けて発光させる仕組みで、1.4mmの自在に曲げる事が出来るチューブ自体が先端まで均一に発光します。
今回購入したのは、乾電池2本の3Vをトランスで昇圧し、120~150Vもの高電圧を発生させるものでした。
これなら理想的な発光になりそうですが、
・LEDに比べると光が暗い
・寿命が短い(2000時間で光量が4割落ちる)
・高電圧を扱うので触れたら危険
・紫外線に弱い
といった欠点があります。
特に、寿命が短いのは致命的で、今回の様に後から交換できない工作の場合は、ある程度楽しんだらオシマイになります。
それを覚悟してでも、均一な発光の魅力には勝てませんでした。

電池のままでは車体に納まりませんので、インバータ回路だけ取り出しました。
EL回路取出し.jpg
高電圧を発生させるトランスと、電源/点滅モード切替スイッチ、電源ランプLEDが付いています。
基板自体は2×3cm程度なので、これなら車体に組み込めそうです。
スイッチとLEDは取り外してしまい、出来るだけコンパクトにしました。
これをPICで制御できるのか、テストしてみます。
PICで制御テスト.jpg
3端子レギュレーターTA48033で5Vから3.3Vを作り、電源を与えています。
スイッチは、押すとマイナスに繋がるだけの仕組みなので、PICでマイナスに落としてあげるだけでOKでした。
ただ、スイッチは押す度に「点灯」「低速点滅」「高速点滅」「消灯」と動作が切り替わるため、点灯状態から消灯させるには、3回スイッチングさせなくてはなりません。
しかも、回路はアナログなので応答速度が遅く、200msくらいの間隔を置いてスイッチングしないと反応してくれません。
とりあえず点灯と消灯は出来ますし、回路を改造するのはトラブルの元になりそうなので、回路はいじらずにこのまま使用する事にしました。

ELワイヤーは、バンパーとリア部分に分けて発光させます。
また、必要な長さにカットする必要もあるので、ELワイヤーを切断しなくてはなりません。
EL配線つなぎ.jpg
【左上】ELワイヤーは、表面の透明なパイプの中に、白い発光する線と細い2本の線が入っています。
中の配線をキズ付けない様に被覆を剥がすのは、かなり難しいと思います。
もし、中の線と細い線が接触してしまったら、たぶん火花が飛ぶでしょう。
ご自分で加工される際には、十分に注意してくださいね。
【右上】白い発光線と0.26mmのラッピングワイヤーをハンダ付けしました。
高電圧なので、ポリウレタン線では不安だったため、ちょっと太い配線材料を使いました。
【左下】先程剥いた透明なチューブをハンダ部分にかぶせて絶縁します。
細い2本の線をまとめて1本にして、こちらもラッピングワイヤーをハンダ付けしました。
【右下】熱収縮チューブをかぶせて、固定・絶縁します。
くれぐれもハンダ部分をむき出しで使用しないでください。
感電どころか、ヘタすると火災の原因になる可能性があります。
また、切断した断面も高電圧の線が露出した状態ですので、触れると感電します。
最後に、テスターで2本の線に導通が無いか確認します。

出来たELワイヤーを、回路の出力端子(黄色矢印)に並列でつないでみました。
パラ接続.jpg
ちゃんと2本が発光できました。
これでバンパーとリアの2か所を点灯させることができます。

バンパー部分から製作しましょう。
おゆまるで型を取って、ELワイヤーを埋めながらUVレジンで複製しました。
UVレジンで複製.jpg
UVレジンは手で押さえながらサッと硬化させる事が出来るので、作業性が良いです。
UVを照射しているとき、青く発光しているので、ヤバイと思いながらも「ちょっとくらいなら大丈夫だろう」と作業を続けた結果・・・
EL死亡.jpg
殆ど発光しなくなってしまいました。
照射している時間はそんなに長くありませんでしたが、ELには致命傷だったみたいです。

これでは使い物になりませんので、エポキシ接着剤で複製することにしました。
ホルダー追加.jpg
エポキシ接着剤は、硬化に時間がかかるので、ELを埋めてクリップで押さえながら少しずつ流しては硬化させるしかありません。
バンパーを複製するだけで2日掛かりましたが、仕上がりはご覧の通り、大変満足のいく光になりました。
成型して気泡を埋め、バンドを車体に固定するホルダーを追加しました。

塗装します。
バンパー塗装.jpg
バンパーの前面と、裏面をマスキングして、ブラックで遮光塗装してからシルバーを塗装しました。
裏面からも光を出して、車体をブルーに照らしてくれる効果を狙っています。
前面にエッチングのメッシュを貼り付け、車体へと引き込む部分にはアルミテープを巻いて遮光しました。

車体に取り付けます。
バンパー配線引き込み.jpg
配線を通す穴を開けて、内部へと引き込んでいます。
大きな穴が開いてしまいますが、ここにはボックスが付くので隠れます。

フラックス・バンドが繋がるボックスを塗装しました。
フラックス・ボックス塗装.jpg
配線を追加したりバンド部分をカットしたり、車体にぴったり密着する様にスリ合わせをしてから塗装しています。

これでやっと思い描いた発光を実現できました。
バンパー発光状態.jpg
均一な棒状の光で、車体も照らされ、青白い柔らかい光です。
写真では綺麗な面発光に見えますが、実際はELワイヤーがハッキリ見える光り方です。
光量が低いので、目の大きいメッシュを使った効果も大きいと思います。

とりあえず、これで工法が確立できたので、次はリア部分のフレックス・バンドも発光させてみましょう。
やり方はバンパーと同じですが、今度は形状が複雑なので、手間が倍増します。
リアのフラバン複製.jpg
【左上】やはりおゆまるで型を取り、ELワイヤーを埋めながらエポキシ接着剤を少しずつ流していきます。
ELワイヤーは1.4mmですが、バンドは1mm厚なので裏に盛り上がった感じで仕上がります。
僅かでもワイヤーが浮いてしまうと車体に収まらなくなり、作り直しになります。
かといって、あまり押し付けると今度は型が変形して、やはり車体に収まらなくなります。
何度も何度も失敗して、やっと片側だけ出来ました。
【右上】反対側もおゆまるで型取りします。
複雑なカーブで、車体にピッタリ追従した形状なので、わずかな狂いも許されません。
【左下】反対側もエポキシ接着剤で複製します。
タキオンパルス発生器が付く部分はスキマが出来ない様に間を開けて複製しています。
【右下】成型して、車体に取り付けるホルダーを追加しました。
ホルダーには、0.6mmの真鍮線を埋めて、車体にしっかり固定できる様にしています。
出来るだけ薄く複製しているので、型から取り出すときに折れてしまったり、気泡が出来てしまった部分は、型をカットしてもう一度ハメ込んで修復します。
タキオンパルス発生器が付く部分は、アルミテープを巻いて遮光して、パーツの中を通過させました。
先端まで均一に光るELワイヤーだから出来る技ですね。

バンドの表面にエッチングのメッシュを貼ります。
フレバンエッチング.jpg
バンドの表面には、ハセガワのモデリングメッシュ43を貼りました。
実車ではもっと穴が少ないパンチングメタルが使われていますが、ELの光量が少ないので目の大きなメッシュを使いました。
しかもこれ、丸穴ではなく6角形のメッシュなのですが、他に適当なエッチングが見付からなかったので、止む無く使用しています。
貼り付ける面は#240で荒らして光の拡散を狙ったのですが、エッチングを瞬着で貼った際に透明になってしまいました。
リアフレバン取り付け前.jpg
塗装した状態です。
こちらも裏に光が漏れる様にマスキングしているので、一部が裏まで見えていますね。
取り付けは、車体に出来るだけ密着する様に真鍮線で固定します。
リアフレバン取り付け.jpg
車体に開けた穴にホルダーの真鍮線を差し込んで固定します。
固定しておかないと動いてしまって折れたりドアが開かなくなったりしちゃいます。

インバータには、レギュレーターを乗せました。
インバータ.jpg
3端子レギュレータTA48033で、5Vから3.3Vを作りますが、ちょうどスイッチを取り外した空間が空いていたので、そこに電源回路を組み込んでしまいました。
これで「この回路は3.3Vだ」と意識しないで工作をすすめる事ができます。

さて、これでやっとフレックス・バンドの発光が実現できました。
時間と手間が掛かりましたけど、発光した姿をみると苦労も吹き飛びます。
タイムマシン部分を乗せて悦に浸ります。
フラックス・バンド完成.jpg
フラックス・バンド出来た2.jpg
最後になりましたが、この製作の途中である3月16日23:36に福島県沖でM7クラスの地震がありました。
被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。

コメント(4) 

コメント 4

tezno

6角メッシュが丸メッシュってことがもしかしてマイナスポイントですか?凄くかっこいいのでなんの問題もないです~。さすがでございます
by tezno (2022-03-20 20:44) 

はねまる

こんばんは。
制作お疲れ様です。(完成まで気が抜けなさそうですが…)
理想を追い求めての試行錯誤が茨の道を行くようで脱帽でした。
相当かっこよく仕上がっており最高です。
確かにパンチングプレートのいいエッチングはなかなか無いですよね。
日頃から禍災が絶えないですが、くれぐれもご自愛ください。
by はねまる (2022-03-21 02:18) 

どろぼうひげ

teznoさん、ありがとうございます^^
メッシュになった事もマイナスポイントですが、まぁそれはELの弱い光をフォローしてくれるので、それ程残念なポイントではありません
それより、上手く複製出来ていないところがあって、フレックス・バンドが歪んでしまっている部分が出来てしまったことが悔やまれます
もう散々やり直したので、もうイヤになっちゃいました

by どろぼうひげ (2022-03-21 20:11) 

どろぼうひげ

はねまるさん、ありがとうございます^^
結局、満足な出来にはなりませんでしたので、もし再挑戦する機会があれば、別の工法を試してみたいです
とりあえず先に進んで、完成させたいですね

by どろぼうひげ (2022-03-21 20:18) 

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